はじめに
小さな不動産会社を経営されている方の中には、営業も、広告も、経理も、契約書のチェックも、気づけば社長がひとりで担っている、という方も多いのではないでしょうか。
「うちくらいの規模だと、AIなんてまだ早い」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ですが実は、少人数の会社だからこそAIが力を発揮しやすい場面がたくさんあります。今回は、1〜3人規模の不動産会社にAI活用をおすすめしたい理由について、やわらかくお話ししてみたいと思います。
小さな不動産会社に多い「何でも担当者」問題
社長が営業も経理も広告も
大手の不動産会社であれば、営業、広告制作、経理、契約事務など、それぞれに担当者がいることが一般的です。しかし1〜3人規模の会社では、そのすべてを社長やごく少数のスタッフでこなしているケースが少なくないように思います。
物件の内見対応をしたあとに、そのまま広告文を考え、夜になってから経理処理をする。そんな一日を過ごしている方も、意外と多いのではないでしょうか。
属人化のリスク
このような働き方には、良い面もあります。意思決定が早く、柔軟に対応できるのは、少人数だからこその強みです。
一方で、すべての業務が一人の頭の中にしかない状態になりやすい、という側面もあります。もし社長やキーパーソンが体調を崩したり、急な用事で動けなくなったりすると、業務が一気に滞ってしまう可能性があります。また、日々の業務に追われるあまり、本来もっとも大切にしたい「お客様との対話」や「今後の事業の方向性を考える時間」が後回しになってしまうことも、少なくないかもしれません。
AIは「人の代わり」ではなく「仕事の補助役」
AIにできること・できないこと
ここで少し誤解を解いておきたいのですが、AIは「人の仕事を奪うもの」ではなく、どちらかというと「隣で手伝ってくれる補助役」に近い存在だと考えていただくと、イメージしやすいかもしれません。
お客様との信頼関係を築いたり、地域の事情を踏まえて的確なアドバイスをしたりすることは、やはり人にしかできない部分が大きいものです。AIが得意なのは、そうした人にしかできない業務に集中するための「時間を作ること」です。文章を整えたり、情報を整理したり、繰り返し発生する作業を素早くこなしたりする部分を、AIに任せてみるという発想です。
具体的な業務での活用イメージ
たとえば、次のような場面でAIを補助役として使うイメージができます。
- 物件の広告文やチラシの文章を、写真や物件データをもとに下書きしてもらう
- 問い合わせメールへの返信文を、まず下書きとして作成してもらい、最終確認は自分で行う
- 契約書や重要事項説明書の記載に不備がないか、ダブルチェックの一つとして活用する
- お客様からのよくある質問への回答テンプレートを一緒に整理する
- 日々の業務日報や議事録を、話した内容から簡単にまとめてもらう
いずれも、最終的な判断や責任は人が持ちながら、下準備や整理の部分をAIに手伝ってもらう、という使い方です。こうした積み重ねが、毎日の「なんとなく忙しい」状態を、少しずつ軽くしてくれるのではないかと思います。
少人数だからこそAI導入のハードルは低い
大きな組織でAIを導入しようとすると、部署間の調整や、システムの統一、社内ルールの整備など、越えなければならないハードルがいくつも出てきます。
その点、1〜3人規模の会社であれば、話し合う相手も少なく、意思決定もスムーズです。「試してみて、合わなければやめる」という判断も、比較的気軽に行えるのではないでしょうか。むしろ、少人数の会社の方がAIを取り入れやすい環境にある、と言えるかもしれません。
まずは小さく始めてみる
AI活用というと、大掛かりなシステム導入をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうである必要はありません。
まずは、日々の業務の中で「これはちょっと面倒だな」「時間がかかっているな」と感じている作業を一つだけ選び、そこにAIを試しに使ってみる、というくらいの気持ちで十分だと思います。広告文の下書き一つでも、メール返信のたたき台一つでも構いません。小さく始めて、効果を感じられたら少しずつ範囲を広げていく、というくらいの進め方が、少人数の会社には合っているのではないでしょうか。
おわりに
社長が何でも一人でこなしている状態は、頑張っている証でもありますが、同時に少し無理をしている状態でもあるのかもしれません。AIは、そうした状態を少しだけ楽にしてくれる、頼れる補助役になり得る存在です。
すべてを任せる必要はなく、できるところから少しずつ。そんな気持ちで、AIとの付き合い方を考えてみるのも良いのではないでしょうか。
